建設業法の違反事例とは?実際の事例も交えて徹底解説

建設業法は建設業の健全な発達と工事の適正施工を確保する重要な法律ですが、複雑な規定により違反事例が後を絶ちません。違反した場合、罰則や監督処分といった厳しい処分が科され、事業継続に深刻な影響を与える可能性があります。
本記事では、建設業法違反による具体的な処分内容や実際の違反事例、裁判例を交えながら、違反のリスクと対策について解説します。適切な法令遵守体制の構築にお役立てください。
目次
- 1 建設業法に違反するとどうなる
- 2 建設業法の目的と許可制度
- 3 具体的な建設業法の違反事例
- 3.1 【ケース1】技術者の専任違反による「指示処分」(法第26条第3項)
- 3.2 【ケース2】経審の工事経歴書から発覚した技術者の専任違反|「指示処分」(法第26条第3項)
- 3.3 【ケース3】通勤困難による専任義務違反|「口頭注意」にとどまったケース
- 3.4 【ケース4】技術者の不配置により「15日間の営業停止処分」(法第26条第1項)
- 3.5 【ケース5】一括下請負違反による元請負人と下請負人への「営業停止処分」(法第24条の7第1項及び第4項、同条の6第1項、第22条第1項)
- 3.6 【ケース6】一括下請負違反(工事の主たる部分について)による「営業停止処分」(法第22条第1項)
- 3.7 【ケース7】工事の「実質的な関与」違反による「営業停止処分」(法第22条第1項)
- 3.8 【ケース8】施工体制台帳の現場備付け違反に対する「指示処分(口頭指導)」(法第24条の7)
- 3.9 【ケース9】不正取得の資格保持者を専任技術者・主任技術者に配置|「指示処分」及び「22日間の営業停止処分」
- 3.10 【ケース10】官製談合防止法違反及び公契約関係競売等妨害罪による営業停止処分
- 3.11 【ケース11】資格要件を満たさない技術者の配置及び虚偽の経営事項審査申請による営業停止処分
- 3.12 施工体制台帳の点検で見られやすい違反事例
- 3.13 違反のおそれがある事例(未然防止のポイント)
- 4 建設業法違反を防ぐための対策
- 5 まとめ
建設業法に違反するとどうなる

建設業法に違反すると、国土交通大臣や都道府県知事から「監督処分」を受けることがあります。裁判所からは「罰則」として懲役や罰金が科されることも。他の法令に違反した場合も油断はできません。違反の内容や程度、建設業の営業との関わりを踏まえたうえで、「監督処分」の対象となるケースがあるためです。
なかでも注意したいのが、傷害や暴行、脅迫、背任といった建設業許可の「欠格要件」に該当する違反です。この場合、「建設業許可取消し」となるだけでなく、その後「5年間」は許可の申請すらできなくなってしまいます。
罰則
建設業法違反の刑事罰として科されるのが「罰則」です。違反行為の内容に応じて、懲役や罰金が科されます。しかもこの罰則、違反した本人だけでなく雇い主(法人)も処罰の対象に。
工事の適正な施工を妨げ、発注者の利益を損ないかねない行為だからこそ、法令違反には厳格な罰則が設けられています。
主な違反行為と罰則内容
建設業法違反の中でも代表的なものとして、以下のような違反行為と罰則が挙げられます。
| 違反行為 | 罰則 | 内容 |
| 無許可営業(法第3条第1項) | 3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法第47条) | 建設業許可を受けずに500万円以上の建設工事を請け負った場合に適用 |
| 虚偽申請 | 6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金(法第50条) | 建設業許可の申請や変更届、経営状況分析申請などで虚偽の記載を行った場合に適用 |
| 一括下請負(丸投げ)の禁止違反(法第22条) | 営業停止処分や許可取消処分、または罰則 | 請け負った建設工事の全部を一括して他の業者に下請けに出す行為 |
| 下請代金の支払遅延・不当減額(法第19条の3、第24条の3、同条の5ほか) | (個別の事案に応じて判断) | 下請業者に不当に低い請負代金を支払う行為や、正当な理由なく支払いを遅延させる行為など |
このほかにも建設業法には多数の規制があり、違反の内容によっては重い罰則が科されることがあります。
長時間労働をめぐる規制強化の背景については、建設業の2024年問題とは?働き方改革対策6選で詳しく解説しています。
監督処分
監督処分には、「指示」「営業停止」「許可取消し」の3種類があります。これらは国土交通省が定める監督処分基準(令和7年12月12日最終改正、国土交通省HP参照)にもとづく行政処分です。
処分を科すかどうかは、建設業法の目的に沿って総合的に判断されます。不正行為の内容や程度、社会的影響、情状などをふまえたうえで、厳正に対応する仕組みになっているのです。
①指示処分
指示処分とは、違反行為の是正を命じる処分です。特定建設業者が国土交通大臣等の勧告(法第41条第2項・第3項)に従わない場合や、次の事由に該当する場合に、是正のための措置が命じられます(法第28条第1項、第2項)。
| 事由 | 内容 |
| a | 工事関係者以外の一般公衆に危害を及ぼした場合(危害が軽微なとき)。危害のおそれが大きいときは指示処分や営業停止処分が機動的に行われ、重大な危害の場合は7日以上の営業停止処分となる |
| b | 請負契約に関して不誠実な行為をした場合 |
| c | 建設業者(法人の場合はその法人・役員)や支配人・支店長等が、業務に関して他の法令に違反し、建設業者として不適当と認められる場合 |
| d | 主任技術者・監理技術者の施工管理が著しく不適当で、その変更が公益上必要と認められる場合 |
| e | 軽微でない建設工事(500万円以上、建築一式工事は1,500万円以上)について、許可を持たない業者と下請契約を締結した場合 |
| f | 特定建設業の許可を受けていない元請負人から、5,000万円以上の建設工事を請け負った場合 |
| g | 営業の停止・禁止を命じられた者と知りながら下請契約を締結した場合 |
| h | 社会保険・労働保険に未加入の場合 |
②営業停止処分
一定期間、建設業の営業を停止する処分です。前述の指示処分の対象事由のいずれかに該当し、事実について情状が重く、指示処分のみでは十分でない場合や、軽微なもので「指示処分」の指示に従わなかった場合には、「営業停止処分」が行われます。(法第28条第3項)
| 区分 | 該当する不正行為 | 営業停止の期間 |
| a | 公衆危害で重大な危害を及ぼした場合 | 7日以上 |
| b | 虚偽申請(内容・資料提出の前後により変動) | 15日以上/30日以上/45日以上 |
| b | 主任技術者等の不設置 | 15日以上 |
| b | うち虚偽・不正資格者による場合 | 30日以上 |
| b | 専任義務違反による指示処分に従わない場合 | 7日以上 |
| b | 粗雑工事等による重大な瑕疵 | 15日以上 |
| b | 一括下請負禁止違反(法第22条) | 15日以上 |
| b | 施工体制台帳等の不作成・虚偽作成 | 7日以上 |
| c | 業務に関する談合や贈賄等 | 30日〜1年間 |
| d | 信用失墜行為(法人税法・消費税法等の税法違反) | 個別に判断 |
| e | 他法令違反(健康保険法違反等) | 内容に応じて指示処分または営業停止処分 |
営業停止期間中に行えない行為と行える行為が、監督処分基準(令和7年12月12日最終改正、国土交通省HP参照のこと)の別表に記されています。
③許可取消し処分
許可取消し処分は、次の場合になされます(法第29条、第29条の2)
- 経営業務の管理責任者がいなくなった場合。
- 営業毎に置くこととなっている専任の技術者がいなくなった場合。
- 許可を受けた後、許可拒否要件に該当することとなった場合。(例えば、禁錮以上の刑に処せられたり、破産者となった場合)
- 許可を受けた後1年以内に営業を開始しなかったり、1年以上営業を休止した場合。
- 廃業届の提出要件に該当するに至った場合。
- 不正の手段によって許可(許可の更新を含む)を受けていた場合。
- 前述の指示処分の対象事実のうちで、その情状が特に重い場合。
- 営業の停止処分に従わなかった場合。
- 建設業者の営業所の所在地又は建設業者の所在を確認できない場合。
監督処分が科せられるのみならず、違反行為の態様、情状等によっては、厳正な処分となって、その後の一定期間の建設業を営むこともできなくなることもあります。
建設業法の目的と許可制度
先ほどのルール(短文化・太字・語尾の連続回避・柔らかい文体)で整えました。
修正後
建設業を営む人が守るべき法律、それが「建設業法」です。この法律(以下「法」)の目的は、公共の福祉の増進に寄与すること。そのために、建設業者の資質向上、工事の適正な施工確保、発注者の保護、そして建設業の健全な発達を目指しています。
軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、建設業を営むには法の規制と建設業許可(500万円以上の工事が対象)が必要です。許可を得ることで、営業活動や工事の施工が可能になります。
建設業許可(法第3条第1項)には、国土交通大臣許可と都道府県知事許可の区分があります。さらに、下請契約の総額に応じて「一般建設業」と「特定建設業」(5,000万円以上の下請契約、法第16条)にも分かれているのです。
建設業許可の要件
①経営業務管理責任者の設置
②営業所専任技術者等の設置
③誠実性
④財産的基礎を備えていること
建設業許可を受けるには上記4つの「許可要件」(法第7条)と、次の「欠格要件に該当していないこと」(法第8条)が必要となります。
欠格要件の詳細
欠格要件に該当するのは、次のようなケースです。
- 許可申請書や添付書類の重要事項に虚偽の記載がある、または重要な事実の記載が欠けている場合
- 次のいずれかに該当する場合
- 悪質な行為による許可取消し処分を受けてから5年未満の者
- 営業停止(禁止)期間中の者
- 役員・支店長・営業所長などに、禁錮以上の刑を受けてから5年未満の者がいる場合
- 役員・支店長・営業所長など(企業自身を含む)が、以下の法律の罰金刑を受けてから5年未満の場合
- 建設業法、建築基準法、都市計画法、労働基準法等
- 暴力団対策法
- 刑法(傷害罪、暴行罪、脅迫罪等)
こうした要件をクリアして得た大切な建設業許可も、建設業法にひとたび違反すれば重い処分を受けかねません。だからこそ、法令遵守を徹底し、日々の業務運営を丁寧に行うことが欠かせません。
具体的な建設業法の違反事例
ここからは、実際に公表された建設業法違反の事例をご紹介します。技術者の専任違反や一括下請負違反、施工体制台帳の不備など、内容はさまざまです。処分の重さも指示処分から営業停止処分まで幅があります。
なお、建設業法第45条から第55条では、違反や虚偽・不正の内容によっては懲役や罰金が科されることも定められており、情状次第では両方が併科されるケースもあります。
処分の対象は行為者本人にとどまらず、法人の代表者にまで及ぶことがある点にも注意しておきたいところです。
【ケース1】技術者の専任違反による「指示処分」(法第26条第3項)
A社は、技術者の専任が必要な2件の工事(B地方整備局発注工事、C県発注工事)で、同一の技術者を兼任させていました。「発注者支援データーベース・システム」の活用により、この兼任の疑いが発覚。B地方整備局からC県へ、入契適正化法第11条にもとづく通知が行われました。
通知を受け、許可行政庁であるC県がA社に報告聴取を実施。その結果、2件の工事にわたり5ヶ月間、技術者を兼任させていた事実が確認されました。これにより、専任違反として「指示処分」が行われています。
【ケース2】経審の工事経歴書から発覚した技術者の専任違反|「指示処分」(法第26条第3項)
許可行政庁であるB県が、経営事項審査の際に工事経歴書を確認。その過程で、A社の技術者が専任が必要な2件の工事を兼任している疑いが浮上しました。
このため、B県はA社に報告聴取を実施。その結果、2ヶ月間にわたる技術者の兼任の事実が確認され、専任違反として「指示処分」が行われています。
【ケース3】通勤困難による専任義務違反|「口頭注意」にとどまったケース
発注者であるB県は、現場の施工体制確認の際、A社の技術者に監理技術者資格者証の提示を求めました。住所と出勤簿から専任状況を確認したところ、通勤が困難な状況が判明。専任義務を怠っていたことが発覚しました。
今回のケースは、建設業法への理解不足によるもので悪質性はないと判断され、「口頭注意」と是正にとどまっています。
【ケース4】技術者の不配置により「15日間の営業停止処分」(法第26条第1項)
A社は、B県発注工事のJV(共同企業体)の構成員でした。しかし、技術者を配置していない疑いがあるとして、入札契約適正化法第11条にもとづき、発注者のB県から許可行政庁であるC地方整備局へ通知がありました。
この通知を受け、C地方整備局がA社に報告聴取を実施。その結果、JVの代表構成員のみが施工管理を行い、A社は技術者を現場に配置していない事実が確認されました。これにより、技術者の未配置違反として「15日間の営業停止処分」が行われています。
【ケース5】一括下請負違反による元請負人と下請負人への「営業停止処分」(法第24条の7第1項及び第4項、同条の6第1項、第22条第1項)
許可行政庁であるC地方整備局は、A社に対して「下請取引等実態調査」として立入調査を実施。その結果、施工体制台帳と施工体系図に一次下請B社の記載漏れが確認されました。さらに、B社は二次下請に工事を一括下請負させていたことも判明しています。
A社への報告聴取では、記載漏れをそのままにし、B社への指導も行っていなかった実態が明らかに。これを受け、A社には施工体制台帳の不作成と下請負人への是正指導を怠った違反として「7日間の営業停止処分」、B社には一括下請負違反として「15日間の営業停止処分」が科されています。
【ケース6】一括下請負違反(工事の主たる部分について)による「営業停止処分」(法第22条第1項)
匿名の通報を受け、許可行政庁のB県はA社に事実確認のための報告聴取を実施しました。A社の技術者に実際の業務内容を聞き取ったところ、この技術者が「工事の主たる部分」について十分な知識を持っていないことが判明。工事の主たる部分を、一次下請のC社に一括下請負させていた事実も確認されました。
これらの事実を受け、A社には一括下請負違反として「営業停止処分」が行われています。
【ケース7】工事の「実質的な関与」違反による「営業停止処分」(法第22条第1項)
発注者のB県は、A社の現場で施工体制点検を実施しました。技術者への聞き取りで施工管理等への理解が不十分だと分かり、「実質的な関与」への疑いが浮上。役割や実際の業務内容について、聞き取りと打合せ簿の照合を行いました。
その結果、この技術者は施工計画の立案や施工管理といった業務を下請業者の技術者に行わせていたことが判明。「実質的な関与」の違反にあたるとして、A社には一括下請負違反として「営業停止処分」が行われています。
【ケース8】施工体制台帳の現場備付け違反に対する「指示処分(口頭指導)」(法第24条の7)
発注者のB県が抜き打ちで工事現場に立入検査を実施したところ、現場事務所に施工体制台帳が備え付けられていないことが判明しました。その場で技術者に確認すると、本社に保管しているとの回答があったといいます。
このため、B県は現場への備え付けを求めて「口頭指導」を実施。後日の立入検査では、施工体制台帳が備え付けられていることが確認されています。
【ケース9】不正取得の資格保持者を専任技術者・主任技術者に配置|「指示処分」及び「22日間の営業停止処分」
A社は、施工管理技術検定試験の実務経験に関して不正を行っていました。これにより、実務経験を満たさない「不適格者」が資格を取得していたことが判明し、国土交通大臣が技術検定の合格を取り消しました。
取消しを受けた調査の結果、この不適格者を営業所の専任技術者としても、工事現場の主任技術者等としても配置していた事実が確認されました。これにより、指示処分および22日間の営業停止処分が行われています。
【ケース10】官製談合防止法違反及び公契約関係競売等妨害罪による営業停止処分
J社の元社員3名は、町の元町長らと共謀。町が発注した工事の入札に関し、偽計を用いて入札の公正を害する行為を行ったとして、裁判所から官製談合防止法違反および公契約関係競売等妨害罪の判決を受けました。懲役10か月(執行猶予3年)と懲役1年6か月(執行猶予4年)の判決は、いずれも確定しています。
このことが建設業法第28条第1項第2号に該当すると認められ、同条第3項にもとづき60日間の営業停止処分となりました。
【ケース11】資格要件を満たさない技術者の配置及び虚偽の経営事項審査申請による営業停止処分
H社は、資格要件を満たさない者8名を5営業所の専任技術者として配置していました。建設業法第15条第2号に違反する行為です。
さらに、資格要件を満たさない者2名を8工事現場に主任技術者・監理技術者として配置。加えて、経営事項審査では資格要件を満たさない者50名を複数年にわたり技術職員名簿に記載し、虚偽の申請を行っていました。この虚偽の経審結果は公共工事の発注者に提出され、資格審査にも用いられています。
これらのことが建設業法第28条第1項本文および同項第2号に該当すると認められ、指示処分に加え、45日間(全建設業の公共工事が対象)と22日間(土木工事業・とび土工工事業の公共工事が対象)の営業停止処分が科されました。
施工体制台帳の点検で見られやすい違反事例
施工体制台帳まわりでは、次のような不備が一般的によく見られます。深刻な処分には至らないケースが多いものの、現場で起こりやすいミスとして押さえておきたいところです。
| 区分 | 内容 |
| 書類不備 | 施工体制台帳に添付すべき「発注者との契約書の写し」や「監理技術者の雇用関係を証明する書類(健康保険証の写し等)」が不足している |
| 書類不備 | 施工体系図が、施工の進行状況(変更内容)と一致していない |
| 技術者の専任違反 | 下請人において、専任すべき主任技術者を専任配置していない |
| 下請契約の不明記 | 「建設機械費」「工事数量」「材料」など、契約書に工事内容が明記されていない(法第19条等) |
| 下請代金の支払方法 | 労務費相当分を現金払いにしていない、支払期間が120日を超えているなど、認識不足や社内規定の不備が原因となるケース |
| 契約書の不備 | 着工前の書面契約や、追加・変更工事発生時の変更契約書を作成していない(法第19条等) |
こうした不備は、発注者からの指導によって早期に改善されることが多いといわれています。
違反のおそれがある事例(未然防止のポイント)
次のような行為は、建設業法違反にあたるおそれがあります。日頃の取引で無意識に行っていないか、確認しておきたい箇所です。
| 事例 | 内容 | 根拠条文 |
| 見積条件の提示等 | 曖昧な見積条件のまま、下請負人に見積りをさせる | 法第20条 |
| 不当に低い請負代金 | 協議なしに、下請負人の見積額を大幅に下回る額で契約を締結する | 法第19条の3 |
| 不利益取扱いの禁止 | 支払い遅延を監督行政庁に通報したことを理由に、下請負人との取引を停止する | 法第24条 |
| 指値発注 | 見積書の法定福利費等を検討せず、一方的に一定割合を差し引いて契約する | 法第19条等 |
| 赤伝処理 | 下請負人との合意なく、廃棄物処理費用を下請代金から差し引く | 法第19条等 |
建設業法違反を防ぐための対策
違反行為を隠蔽しようとすると、より重い処分を受ける可能性があります。実際、令和3年には技術検定の不正受検や重大な瑕疵事故が相次いだことを受け、監督処分基準が改正され、処分がより厳しくなりました。ケース9で紹介した「不適格者の資格取得」も、こうした不正受検の一例です。
出典:「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準」等の改正について(令和3年7月26日)
令和7年度における「建設業法令遵守推進本部」が実施した監督処分・勧告等の実績は以下のとおりです。
- 許可取消し(1業者):欠格要件に該当
- 営業停止(14業者):無許可業者との下請契約、主任技術者の配置不備、公契約関係競売等妨害等、独占禁止法違反、労働安全衛生法違反、労働基準法違反など
- 指示(4業者):主任技術者の配置不備、労働安全衛生法違反
- 勧告・文書指導等(768業者):見積に関すること(641件)、契約書の記載に関すること(516件)、価格転嫁に関すること(193件)、工期の設定に関すること(60件)など
令和7年度「建設業法令遵守推進本部」の活動結果(令和8年5月公表)から抜粋
改正建設業法と業界の取り組み
令和6年6月に公布された改正建設業法は、請負代金・労務費・工期の3点を重点に取引適正化を図るもので、令和7年12月12日に全面施行されました。施行後は、この3点を中心とした実態調査や改善指導のさらなる強化が見込まれます。
建設業界の用語改正と意識改革
下請法(下請代金支払遅延等防止法)の改正により、「下請事業者」は「中小受託事業者」へと呼び方が変わりました(令和8年1月施行)。発注者と受注者の上下関係をイメージさせる用語を見直す動きです。
ただし、建設工事はこの法律の対象外のため、建設業法上ではまだ「下請負人」という呼び方が使われています。国土交通省も、業界の声を聞きながら今後の検討を進めるとしています。
改正建設業法の詳しい内容や施行スケジュールについては、2025年施行の建設業法改正とは?改正内容と対策を徹底解説で詳しく解説しています。
建設業法令遵守ガイドラインの活用
国土交通省ホームページに掲載されている以下のガイドラインは、実務において重要な参考資料となります。
発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン
元請負人と下請負人間における建設業法令遵守ガイドライン
これらのガイドラインを活用することで、適正な建設業の発展に資することができます。
法令遵守体制の構築とあわせて、労働環境の見直しに取り組みたい方は、建設業の働き方改革は無理じゃない!2024年問題や事例を解説で詳しく解説しています。
まとめ
本記事では、具体的な違反事例や裁判例をご紹介し、法令遵守の重要性を解説しました。建設業法は、建設業の健全な発展と工事の適正施工を確保するための重要な法律です。
そのため、日々の業務の中で法令を正しく理解し、適切な体制を整えることが不可欠です。今一度、自社の体制を見直し、違反の未然防止と健全な事業運営に取り組んでいきましょう。







