安全教育で活かす!建設業向け安全教育ビデオ・動画活用術

安全訓練 2025.11.19
安全教育で活かす!建設業向け安全教育ビデオ・動画活用術のアイキャッチ画像

「毎月の安全協議会で使う資料がマンネリ化している…」 「作業員の心に響く、リアルな安全教育がしたい」 「すぐに使える建設業向けの安全教育動画はないだろうか?」
建設現場の安全を守る担当者様なら、一度はこんな悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか。従来の紙媒体や古いビデオでは、なかなか作業員の注意を惹きつけ、安全意識を本当に高めるのは難しいものです。

そこで効果的なのが、視覚的に危険を伝え、インパクトのある「安全教育動画」の活用です。
この記事では、建設業の安全教育にすぐに使える動画教材を、無料・有料に分けて網羅的にご紹介します。
災害種類別の動画リストから、動画と合わせて使える資料の入手方法、さらには教育効果を最大化する活用術まで、あなたの「知りたい」にすべてお答えします。

この記事を読めば、明日からの安全教育で早速使える、効果的な動画教材が見つかります。労働災害ゼロの現場を目指し、まずは一本の動画から安全対策をアップデートしていきましょう。

安全訓練で使えるネタ資料

無料ですぐ使える建設業の安全教育動画

まずは、コストをかけずに今すぐ利用できる、無料の安全教育動画をご紹介します。公的機関や大手企業が提供する質の高いコンテンツが豊富にあり、安全協議会や新規入場者教育に最適です。

厚生労働省(YouTube公式チャンネル)

厚生労働省は、公式YouTubeチャンネルで労働災害防止に関する多くの動画を公開しています。 災害事例の再現CGや、安全対策のポイントをアニメーションで分かりやすく解説した動画が豊富なのが特徴です。

主な内容

  • 建設業における死亡災害事例(再現CG)
  • ヒヤリ・ハット事例
  • フルハーネス型墜落制止用器具の正しい使い方
  • 化学物質のリスクアセスメント

活用シーン

  • 安全協議会での事故事例共有、新規入場者教育での基礎知識学習など、幅広く活用できます。

視聴方法

建設業労働災害防止協会(建災防)の動画

建設業労働災害防止協会(建災防)は、まさに建設業の安全衛生に特化した組織です。 公式サイトやYouTubeチャンネルでは、建設現場特有のリスクに焦点を当てた専門的な動画を公開しています。

主な内容

  • 建設工事の安全シリーズ(足場、鉄骨、木造家屋など)
  • KY(危険予知)活動の進め方
  • 安全な重機操作
  • 災害事例の研究

活用シーン

  • 専門的な作業手順の確認や、特定の工種に関する安全教育に特に有効です。

視聴方法

大手ゼネコン等が公開する安全啓発ビデオ

大林組や清水建設といった大手ゼネコンも、自社の安全対策ノウハウを社会貢献の一環として動画で公開しています。 最新の技術で制作されたリアルなCGや、実際の現場で培われた知見が反映されている点が魅力です。

主な内容

  • リアルなCGによる災害再現ビデオ
  • VR技術を活用した安全体感教育の紹介
  • 現場独自の安全対策「ポカミス防止対策」など

活用シーン

  • 作業員に災害の恐ろしさをリアルに伝え、安全意識を強く喚起したい場合に効果的です。

視聴方法

  • 各社の公式YouTubeチャンネルなどで無料で公開されています。「清水建設 安全教育動画」「大林組 安全」などで検索すると見つけやすいでしょう。

災害種類別の安全教育動画・ビデオリスト

ここでは、建設現場で特に発生頻度の高い災害の種類別に、おすすめの安全教育動画をリストアップしました。次の安全教育のテーマに合わせてご活用ください。

墜落・転落災害(フルハーネス関連含む)

建設業で最も多い死亡災害である墜落・転落災害。特にフルハーネス型墜落制止用器具の正しい使用方法は、繰り返し教育する必要があります。

動画の例

建設機械・クレーン等による災害

重機やクレーンが関わる災害は、一度発生すると重大な結果につながります。作業範囲への立入禁止や、適切な誘導の重要性を徹底させましょう。

動画の例

倒壊・崩壊災害

足場や掘削面の崩壊、積荷の倒壊など、予期せぬ形で発生する災害です。作業開始前の点検や、手順の遵守がいかに重要かを伝える動画が有効です。

動画の例

感電災害

電動工具の不適切な使用や、ケーブルの損傷など、日常的な作業の中に感電のリスクは潜んでいます。特に夏場は汗で感電しやすくなるため、注意喚起が必要です。

動画の例

熱中症等の労働衛生対策

夏の建設現場では、熱中症対策が死活問題となります。WBGT値の確認、こまめな水分・塩分補給、休憩の重要性を動画で繰り返し伝えましょう。

動画の例

有料の安全教育動画

より体系的で質の高い教育を求める場合や、多言語対応が必要な場合には、有料サービスの利用がおすすめです。

Go-Anzeny

Go-Anzenyは、建設業に特化した安全デジタル教材です。 400種類以上の豊富な動画コンテンツが見放題で、アニメーション動画など視覚的にわかりやすい構成で、受講者の理解を深めながら、安全意識の定着を図れることが大きな特徴です。

Go-Anzenyの特徴
  • 400本以上の動画が揃っていて、ヒヤリハットの事例探しなどに使えて便利です。
  • 労働安全コンサルタント監修で質の高い教育ツールです。
  • 複雑な操作が不要で、現場での運用負担を軽減されます。
  • 動画に対応したテキストもあり、教育効果を高められます。
  • 動画教材による個別対応の手間が減り、教育体制が強化されます。

Go-Anzeny: https://www.goanzeny.net/anzenbu

CIC日本建設情報センター

CIC日本建設情報センターは、建設業関連の各種講習会や教材提供を行っている機関です。 DVD教材やeラーニング形式で、体系的な安全教育プログラムを提供しています。

CIC日本建設情報センターの特徴
  • 体系的なプログラム 「新規入場者教育セット」や「職長・安全衛生責任者教育」など、目的に合わせたセット教材が充実しています。
  • 実績と信頼性 長年にわたり建設教育に携わってきた実績があり、教材の質は非常に高いです。
  • eラーニング対応 時間や場所を選ばずに学習できるeラーニング講座も提供しています。

公式サイト https://www.cic-ct.co.jp/

技報堂出版(安全衛生ビデオシリーズ)

技報堂出版は、建設・土木分野の専門図書や映像教材を扱う出版社です。 DVD形式の「安全衛生ビデオシリーズ」は、多くの企業で長年利用されている定番教材です。

技報堂出版(安全衛生ビデオシリーズ)の特徴
  • 定番シリーズ 「目で見るシリーズ」など、現場で長く使われてきた信頼性の高いビデオが揃っています。
  • 専門性の高い内容 各分野の専門家が監修しており、正確で深い知識を得ることができます。

公式サイト https://gihodobooks.sslserve.jp/index.html

動画と併用できる安全教育資料の入手方法

動画で視覚的にインプットした後、テキストやイラスト資料で知識を定着させることが重要です。動画と合わせて使える便利な資料の入手先をご紹介します。

Go-Anzeny

Go-Anzenyは、動画と連動したテキスト教材を備えており、視覚と文章の両面から学習をサポートする構成になっています。動画とテキストをセットで活用することで、受講者は内容をより深く理解しやすくなり、知識の定着率も向上します。

また、教育担当者にとっては、教材の準備や説明資料の作成にかかる時間と労力を大幅に削減できるため、限られた人員体制でも効率的かつ継続的に安全教育を実施することが可能です。特に人手不足が課題となっている現場においては、教育の質を落とすことなく、無理のない形で安全意識の向上を図る有効な手段となります。

厚労省「職場のあんぜんサイト」の資料

厚生労働省が運営する「職場のあんぜんサイト」は、資料の宝庫です。すべて無料でダウンロードできます。

入手できる主な資料

  • 労働災害事例 過去の災害事例が詳細なイラスト付きで解説されており、KY活動の題材に最適です。
  • 危険予知訓練(KYT)シート 現場の状況イラストを見て危険を予測する訓練シートが多数用意されています。
  • 安全衛生教育用テキスト 各種特別教育のテキストや、リスクアセスメントの解説資料など、専門的な資料も豊富です。
  • 公式サイト: https://anzeninfo.mhlw.go.jp/

建災防のテキスト・ポスター・イラスト

建災防では、安全教育用のテキストやポスター、安全標識のイラストデータなどを販売・提供しています。

入手できる主な資料

  • 各種教育用テキスト 職長教育や特別教育など、法定教育に対応した公式テキストが購入できます。
  • 安全啓発ポスター 現場や事務所に掲示することで、日常的に安全意識を高めることができます。
  • イラストデータ 自社で安全教育資料を作成する際に活用できる、分かりやすいイラスト素材があります。
  • 公式サイト: https://www.kensaibou.or.jp/

安全教育で動画を効果的に活用する手法

せっかく動画を使っても、「ただ見せるだけ」では効果が半減してしまいます。ここでは、動画の効果を最大限に引き出すための具体的な手法をご紹介します。

安全協議会・新規入場者教育での上映方法

10分〜20分程度の少し長めの動画を使い、災害の発生原因から対策までを体系的に学ばせるのが効果的です。 特に、CGで再現された災害事例の動画は、危険の重大さをリアルに伝え、安全ルールの遵守がいかに重要かを理解させるのに役立ちます。上映後は、動画の内容について質疑応答の時間を設けましょう。

朝礼やツールボックスミーティングでの短時間活用

1分〜5分程度の短い動画を「ワンポイントKY」として活用しましょう。 例えば、その日の作業が足場上での作業なら「フルハーネスの点検方法」、クレーン作業があるなら「立入禁止範囲の確認」といった短い動画を見せることで、作業直前に改めて危険ポイントを意識させることができます。

視聴後のディスカッションと理解度テスト

動画を「見せて終わり」にせず、必ずアウトプットの機会を設けることが重要です。

ディスカッションと理解度テスト
  • ディスカッション:「動画の災害を防ぐために、私たちの現場では何ができるか?」「似たようなヒヤリハットを経験したことはあるか?」といったテーマで、数人のグループで話し合ってもらいます。他人の意見を聞くことで、多角的な視点が得られます。
  • 理解度テスト:動画の内容に関する簡単なテストを実施します。有料サービスのテスト機能を使ったり、動画の内容から簡単な〇✕クイズを作成したりするだけでも効果があります。知識の定着度を確認し、理解が不十分な点があれば再度説明しましょう。

建設業の安全教育動画に関するQ&A

最後に、安全教育動画の利用に関してよくある質問にお答えします。

YouTube動画の利用は著作権法上問題ないか?

社内研修など、非営利目的の教育機関での利用は、著作権法上認められる可能性が高いです。 特に、厚生労働省や建災防、大手ゼネコンなどが「安全教育にご活用ください」という趣旨で公開している動画は、社内研修で上映しても問題になることはまずないでしょう。ただし、動画を改変したり、有料で販売したりすることは禁止されています。不安な場合は、各動画の概要欄にある利用規約を確認するのが最も確実です。

動画をダウンロードしてオフラインで再生する方法

YouTubeの利用規約では、公式機能以外での動画ダウンロードは原則として認められていません。 ただし、現場の通信環境が不安定でストリーミング再生が難しい場合もあるかと思います。その場合は、有料プランである「YouTube Premium」に加入すれば、公式機能として動画を一時的にダウンロードし、オフラインで再生することが可能です。また、「Go-Anzeny」などの有料サービスでは、ダウンロードに対応している場合もあります。

自社で安全教育動画を作成する際のポイント

自社で動画を作成する最大のメリットは、自分たちの現場に即したリアルな教材が作れることです。 高価な機材は必要なく、スマートフォンでも十分に作成可能です。

  • 実際のヒヤリハット事例を再現する 「あの時こうしていたら事故になっていた」という事例を、当事者や同僚に再現してもらうと非常に説得力があります。
  • ベテラン作業員の安全のコツを撮影する 熟練者の「当たり前」の安全行動を撮影し、若手に見せることで、暗黙知となっているノウハウを形式知として共有できます。
  • NG行動とOK行動を比較して見せる 間違った作業方法と正しい作業方法を並べて見せることで、何が危険なのかが一目瞭然になります。

まとめ

建設現場の安全レベルを向上させるためには、作業員一人ひとりの心に響く教育が不可欠です。視覚的に危険を伝え、記憶に残りやすい安全教育動画は、マンネリ化した研修を打破し、現場の安全意識を革新するための強力なツールです。
この記事でご紹介したように、今すぐ使える無料の動画から、より専門的な有料サービスまで、選択肢は豊富にあります。

  • まずは手軽に始めたい → 厚生労働省や建災防の無料動画を活用
  • 特定の災害について学びたい → 災害種類別のリストから動画を選択
  • 体系的な研修が必要 → Go-Anzenyなどの有料サービスを検討
  • 効果を最大化したい → 視聴後のディスカッションや短時間活用を実践

労働災害ゼロという目標達成のため、明日からの安全協議会やツールボックスミーティングで、ぜひ一本の動画から活用してみてください。その小さな一歩が、現場の未来を大きく変えるはずです。