作業員名簿の書き方と記入例!全建統一様式第5号と施工体制台帳

2026.09.19

建設現場で必ず求められる安全書類(グリーンファイル)の中でも、特に重要なのが作業員名簿です。「どの項目に何を書けばいいのか」「社会保険の記載ルールは?」と悩む担当者も多いでしょう。 本記事では、全建統一様式第5号に基づき、不備による差し戻しを防ぐ正しい書き方を解説します。

 

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作業員名簿の役割と提出義務

作業員名簿とは、建設現場に入場するすべての作業員の氏名、生年月日、職種、加入保険、保有資格などを一覧にまとめた書類のことです。

2020年10月の建設業法改正により、施工体制台帳への作業員名簿の添付が義務化されました。現場で事故が発生した際の緊急連絡や、適切な資格を持った人員が配置されているかの確認、さらには社会保険への加入状況を把握するために作成されます。作業員名簿は、工事完了後も5年間の保存義務がある点にも注意が必要です。

施工体制台帳との関係

作業員名簿は、元請会社が作成を義務付けられている施工体制台帳の添付書類としての役割を持っています。 建設業法に基づき、特定建設業許可を受けた元請会社が、下請契約の総額が5,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上になる場合に作成するのが施工体制台帳です。この台帳には「誰が現場にいるか」を証明する作業員名簿を添える必要があります。(2025年2月改正)

安全書類が必要な理由

作業員名簿を含む一連の書類は「安全書類」や「グリーンファイル」と呼ばれ、現場の安全管理と法令遵守のために不可欠です。

  • 適正な人員配置の確認 無資格者が危険な作業を行っていないかを確認するため。
  • 社会保険加入の徹底 建設業界全体で進められている「社会保険加入義務化」への対応状況を把握するため。
  • 緊急時の対応 万が一の事故の際、迅速に家族や会社へ連絡を取るため。

(参考:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk2_000014.html)

全建統一様式第5号の記入例

多くの現場で採用されているのが、全国建設業協会が定めた全建統一様式第5号です。ここでは、具体的な記入項目と注意点を解説します。

基本情報と元請確認欄

まずは書類の上部にある基本情報から埋めていきます。

  • 作成日と事業所名 書類を作成した日付と、工事名称、自社の社名を正確に記入します。
  • 元請確認欄 元請確認欄とは、元請会社の担当者が内容を確認した後に署名・捺印する箇所です。下請会社側で記入する必要はありませんので、空欄のまま提出します。

職種一覧と経験年数

作業員一人ひとりの役割とキャリアを記入する欄です。

  • 職種 「鳶工」「電工」「配管工」など、現場での具体的な役割を記入します。
  • 経験年数 その職種に従事している通算の年数を記入します。1年未満の場合は「1年」と切り上げて記載するか、月数まで細かく指定がある場合は元請の指示に従いましょう。

保険関係項目の正しい書き方

近年、最もチェックが厳しくなっているのが保険関係の項目です。

雇用保険と健康保険の番号

個人情報保護の観点から、保険番号の取り扱いには注意が必要です。

  • 雇用保険番号 被保険者番号の下4桁のみを記入する、あるいは記載自体を不要とする運用も広がっています。元請の指示を確認しましょう。
  • 健康保険番号 健康保険証に記載されている「記号・番号」を記入しますが、こちらもプライバシー保護のため、元請から「下4桁のみ」や「記載不要(加入の有無のみ)」と指示されるケースが増えています。なお、年金保険の番号については、記載自体が不要とされるのが一般的です。

社会保険加入有無の判定

「加入」「未加入」「適用除外」のいずれかを選択します。

  • 加入 会社で社会保険(健康保険・厚生年金)に加入している場合。
  • 未加入 加入義務があるにもかかわらず、手続きが済んでいない場合。
  • 適用除外 従業員が5人未満の個人事業所などで、法的に加入義務がない場合。

(参考:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk2_000008.html)

資格や免許欄の具体的な記載

現場で作業を行うために必要な資格を漏れなく記入します。

技能講習と特別教育の区別

資格欄には、その作業員が持つ免許や講習の修了証を記入しますが、種類を混同しないよう注意しましょう。

  • 免許 「移動式クレーン運転士」など、国家試験に合格して交付されるもの。
  • 技能講習 「玉掛け技能講習」「高所作業車運転技能講習」など、登録教習機関で受講するもの。
  • 特別教育 「アーク溶接」「フルハーネス型墜落制止用器具」など、事業主が行う教育。

資格が書ききれない時の対応

一人の作業員が多くの資格を持っている場合、名簿の枠内に収まらないことがあります。

  • 別紙参照とする 「別紙の通り」と記入し、資格一覧表や免許証の写しを添付します。
  • 現場で必要な資格を優先する その現場で行う作業に直結する資格(例:電気工事なら電気工事士)を優先的に記入し、関係の薄いものは省略します。

一人親方や特殊なケース

一人親方や外国人労働者の場合、通常の従業員とは書き方が異なる部分があります。

一人親方の記入ポイント

一人親方は「事業主」でありながら「作業員」でもあるため、以下の点に注意してください。

  • 雇用保険 一人親方は雇用保険の対象外となるため、通常は「適用除外」または「未加入」となります。
  • 労災保険 一人親方団体などを通じて特別加入しているはずですので、その加入番号を必ず記入してください。

外国人労働者の記載事項

外国人作業員が現場に入る場合は、在留資格の確認が必須です。

  • 在留資格と期間 「技能実習」「特定技能」などの資格名と、在留期限を正確に記入します。
  • 資格外活動許可 本来の在留資格以外の活動が認められている場合は、その旨も備考欄などに記載します。

個人情報保護と最新ルール

2020年以降、個人情報保護の観点から作業員名簿の様式や運用が一部変更されています。

住所や緊急連絡先の要否

以前は作業員名簿に住所を記載するのが一般的でしたが、近年は個人情報保護の観点から、「住所あり」の様式と「住所なし」の様式の両方が用意され、提出先の指示に応じて使い分ける運用が広がっています。

  • 住所欄の扱い 国土交通省が公開している書式にも「住所なし」のバージョンがあり、公共工事など住所の記載を求めない現場も増えています。どちらの様式を使うかは、元請会社の指示を必ず確認しましょう。
  • 緊急連絡先 万が一の際に備え、氏名と電話番号のみを記載するのが一般的です。詳細な住所などは、会社が保管する「個人票」で管理します。

(参考:https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_fr1_000001_00006.html)

健康診断日の記載ルール

作業員が直近で受診した健康診断日の記入は必須です。

  • 受診日 1年以内に受診した日付を記入します。
  • 特殊健康診断 有害な業務(石綿、鉛、放射線など)に従事する場合は、一般健康診断だけでなく特殊健康診断の受診日も併記する必要があります。

まとめ

作業員名簿は、建設現場の安全と信頼を守るための基礎となる書類です。 特に全建統一様式第5号を使用する場合は、社会保険の加入状況や資格の有無、最新の個人情報保護ルールに基づいた記載が求められます。

  • 元請確認欄は空欄にする
  • 保険番号は下4桁など、元請の指示に従い適切に処理する
  • 健康診断日は1年以内のものを記入する

これらのポイントを押さえて作成すれば、書類の差し戻しを大幅に減らすことができます。正確な名簿作成を通じて、スムーズな現場入場と安全な施工を目指しましょう。