『新規入場者教育実施報告書』の書き方を詳しく解説!【無料テンプレートダウンロードあり】

生産性向上・働き方改革 2025.06.02

新規入場者教育報告書は、作業員の安全に関わる大切な書類です。法令に従って作成する必要があり、保管しておかなければなりません。しかし、詳しい内容や作成方法が分からないという方も多いでしょう。

この記事で分かること

  • 新規入場者教育報告書の実施義務や必要性
  • 新規入場者教育報告書の書き方
  • 新規入場者教育報告書の無料テンプレート

この記事では、新規入場者教育報告書を徹底解説作り方はもちろん、無料ダウンロードできるフォーマットも用意しています。

基礎知識から分かりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

新規入場者教育実施報告書とは?

新規入場者教育実施報告書は、現場に入場する下請業者に対し、元請業者が安全衛生教育を実施した事を証明・報告するための文書です。

保管期間は明確に法令で定められていませんが、推奨される保管期間は5年間です。なぜなら安全書類(グリーンファイル)の推奨する一般的な保管期間が5年間とされているからです。

新規入場者教育実施報告書は安全書類(グリーンファイル)のひとつになるので、5年間保管しておくことが望ましいでしょう。

安全書類(グリーンファイル)とは?

安全書類(グリーンファイル)は、建設業の現場において安全を管理するための書類です。

建設業法によって作成が義務付けられているもので、さまざまな書類がありますが、現場作業を行う人を守るための情報が記載される、大切な書類になっています。

建設業法

(帳簿の備付け等)

第40条の3 建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その営業所ごとに、その営業に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載した帳簿を備え、かつ、当該帳簿及びその営業に関する図書で国土交通省令で定めるものを保存しなければならない。

建設業法|条文|法令リード

建設業法施行規則

第二十六条2 法第四十条の三に規定する帳簿には、次に掲げる書類を添付しなければならない。

一 法第十九条第一項及び第二項の規定による書面又はその写し

二 前項第四号ロの下請契約が法第二十四条の六第一項に規定する下請契約であるときは、当該下請契約に関する同号ニ(1)に掲げる事項を証する書面又はその写し

三 前項第二号イの建設工事について施工体制台帳を作成しなければならないときは、当該施工体制台帳のうち次に掲げる事項が記載された部分(第十四条の五第一項の規定により次に掲げる事項の記載が省略されているときは、当該事項が記載された同項の書類を含む。)

イ 主任技術者又は監理技術者の氏名及びその有する主任技術者資格又は監理技術者資格、監理技術者補佐を置くときは、その者の氏名及びその者が有する監理技術者補佐資格並びに第十四条の二第一項第二号トに規定する者を置くときは、その者の氏名、その者が管理をつかさどる建設工事の内容及びその者が有する主任技術者資格

ロ 当該建設工事の下請負人の商号又は名称及び当該下請負人が建設業者であるときは、その者の許可番号

ハ ロの下請負人が請け負つた建設工事の内容及び工期

ニ ロの下請負人が置いた主任技術者の氏名及びその有する主任技術者資格並びにロの下請負人が第十四条の二第一項第四号ヘに規定する者を置くときは、その者の氏名、その者が管理をつかさどる建設工事の内容及びその有する主任技術者資格


第二十八条 法第四十条の三に規定する帳簿(第二十六条第六項の規定による記録が行われた同項のファイル又は電磁的記録媒体を含む。)及び第二十六条第二項の規定により添付された書類の保存期間は、請け負つた建設工事ごとに、当該建設工事の目的物の引渡しをしたとき(当該建設工事について注文者と締結した請負契約に基づく債権債務が消滅した場合にあつては、当該債権債務の消滅したとき)から五年間(発注者と締結した住宅を新築する建設工事に係るものにあつては、十年間)とする。
建設業法施行規則 | e-Gov 法令検索

また、新規入場時等教育実施報告書は新規入場者調査票を提出することで、それに代えることができます。

新規入場者教育を行う際には、教育を受けた作業員の方に新規入場者調査票(新規入場者アンケート)の記入をお願いしています。

つまり、新規入場時等教育実施報告書の代わりに新規入場者アンケートを提出することで、安全書類を提出したということになります。

新規入場者教育実施報告書の作成義務

新規入場時等教育実施報告書の作成義務については、明確に法令で定められていません。しかし、新規入場者教育実施報告書は安全書類(グリーンファイル)の中のひとつなので、もし万が一労働災害が発生した場合に労働基準監督署から提出を求められる可能性があります。

新規入場時等教育実施報告書は、元請業者が労働災害防止のための責任を果たしていることを示す証明書となります。なので、労働災害が発生した際には元請業者の立場を守る重要な書類としての機能も果たすのです。

新規入場時等教育実施報告書は、本来下請業者に作成が義務付けられていますが、下請業者に対して安全教育をする必要がある元請業者が、新規入場者教育を行うことがあります。

元請業者は、労働安全衛生法第30条で、労働災害防止のために、安全又は衛生のための教育を行わなければならない、と定められています。

第三十条

事業者は、その事業場の業種が政令で定めるものに該当するときは、新たに職務につくこととなった職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く。)に対し、次の事項について、厚生労働省令で定めるところにより、安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。

一 作業方法の決定及び労働者の配置に関すること。

二 労働者に対する指導又は監督の方法に関すること。

三 前二号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な事項で、厚生労働省令で定めるもの

https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057#Mp-Ch_6

安全教育のうち新規入場者教育に関しては、元請業者が下請け業者に対して教育に必要な場所や資料を提供することが求められています。

なので、新規入場時等教育実施報告書は、元請業者により作成する必要があるのです。

新規入場者教育実施報告書の作成をしなかった場合

新規入場者教育実施報告書を作成しなかった場合、作成義務についての法令がないため罰則等はありません。ですが、新規入場者教育実施報告書は安全書類(グリーンファイル)の中のひとつであるため、労働災害が発生した場合に労働基準監督署や元請業者から提出を求められる可能性があります。

厚生労働省から発表されている資料によると、労働災害の発生は当該現場に入場して1週間以内に起きている災害が多くを占めていることがわかります。
【レンタルのニッケン「安全ニュース」2024年3月号より】

『新規入場者教育を実施した』という証明のためにも、新規入場者教育実施報告書の作成は重要です。

新規入場者教育実施報告書の項目と書き方

新規入場者教育実施報告書は全国建設業協会の「全建統一様式第7号」のフォーマットに則った形で作成されるのが一般的です。

元請会社のフォーマットがすでにある場合もこの記事を参考に作成することが可能です。

欄外の項目の書き方

①日付

提出する日付を記入します。記入日ではないので注意しましょう。

②事業所の名称

工事を実施する作業所、または工事名を記入します。
例:○○建設株式会社 ○○作業所
例:○○道路補修工事

③所長名

所長名は『元請』の現場代理人です。間違いのないよう記入しましょう。

④会社名

自社名を記入します。

⑤現場代理人(現場責任者)

自社の現場代理人の氏名を記入します。

欄内の項目の書き方

⑥教育の種類

新規入場時、雇い入れ時、作業変更時の3つの中から選びチェックを入れます。

⑦実施日時

教育を実施した日付と教育にかかった時間を記入します。

⑧実施場所

教育を実施した場所を記入します。例:作業所内もしくは施設名称など

⑨教育方法

教育形式を記入します。例:スライド資料、講義など

⑩教育内容

教育内容を記入します。書ききれない場合は「別途添付」と記入し、資料を添付しましょう。

⑪講師

教育を行った講師の会社名、氏名、役職を記入します。

⑫受講者氏名

教育を受けた受講者氏名を記入します。

⑬資料

教育に使用した資料名を記入します。元請から配布された資料がある場合は配布された資料のタイトルを記入します。

【無料ダウンロード】フォーマットの種類

新規入場者教育実施報告書のフォーマットは元請会社によって様々です。こちらでは新規入場者教育実施報告書の解説付き無料テンプレートをダウンロードできます。

まとめ

新規入場時等教育実施報告書は、その現場で働く作業員の安全に関して周知するための教育を行った、という証明になります。

新規入場時等教育が労働災害防止の措置の一つであり、新規入場時等教育実施報告書はそれを発注者に実証することのできるものです。

現場の労働災害を未然に防ぐ手段を講じることは、作業員が安心して作業に取り組めることに繋がります。

新規入場時等教育実施報告書は、安全安心な職場を作るための大切な書類です。作成のポイントを押さえて正しい記入方法を理解し、労働災害に備えましょう。