【元国交省OBが解説】工事成績評定で90点を取る秘訣

多くの建設会社が工事成績評定で80点を目指していますが、90点を目標とする会社は少ないでしょう。
なぜなら、工事成績評定において90点を取るのは非常に難しく、ハードルが高いからです。それでも、「90点に近づく方法があるなら知りたい」と思う方は多いのではないでしょうか。
この記事では、元国土交通省OBが現場で培ったノウハウをもとに、工事成績評定で90点を目指すための具体的なポイントを詳しく解説します。ぜひ参考にしてください
目次
工事成績評定で90点を取ることは可能?
結論からいうと、工事成績評定で90点を取ることは可能です。
工事成績評定において「a」評価を得ることが出来れば90点を取ることができます。ですが、そのためには主たる工種以外の工種をおざなりにしないことです。ここが欠落していると、工事成績評定は工事全般を通して評価しているため「a」評価は得ることが出来ません。
そのうえでプロセスの内容、さらには高品質な土木建造物を造り上げることが出来れば「a」評価を得ることは可能であると言えるでしょう。
「a」評価を得るためには、まず下記の5つの項目が重要となってきます。
1. 事故を発生させないこと
2. 成績評定時には施工プロセスのチェックリスト等が参考にされる
3. 円滑なコミュニケーションを築く
4. 現場の整理整頓
5. 現場責任者の「気づきと決断力」の能力
事故を発生させない
まずは事故を発生させないことが重要です。そのためには協力業者および会社の支援を含めた安全管理の意識が重要です。そのうえで、受注工事の履行過程における『使用する材料の試験』又は『品質の良好な工事目的物』を完成させることが大切となってきます。
成績評定時には施工プロセスのチェックリスト等が参考にされる
監督職員が工事全般にわたり施工状況等の監督業務を確認した記録であるとともに、その記録内容は評価対象項目と文面が似ていることは理解しておく必要があります。
円滑なコミュニケーションを築く
監督職員との関係もさることながら、地域住民の理解と協力なくしては工事進捗は難しく抉れば中止することにもなりかねません。積極的な挨拶から始まり、顔を突き合わせ地域の情報(営み)に耳を傾ける等のコミュニケーションを図りつつ、何事にも早めの対応が必要です。特に地域の住民からの苦情については迅速に対応しましょう。
現場の整理整頓
現場を一目見れば、どのような現場状態であるのかが垣間見えるものです。
現場責任者の「気づきと決断力」の能力
土木工事は概して天候に左右されやすいです。輻輳する情報過多において正確な読み取り、現場への応用や適用、また先(未来)を予測しどのような動きになっているのか見極めたり等、決断できる支援体制を会社組織が備えていることなどが重要となってきます。
このように外堀を埋めて、現場を一任された土木技術者として新技術活用や創意工夫を駆使しながら「品質の良い」土木構造物を目指して取組んでくことで工事成績の高得点は獲得できるのです。
品質でa評価を得れば90点を取れる可能性がある
品質でa評価を得ることが出来れば90点を取れる可能性があります。なぜなら、品質で「a」評価を得るということは、施工体制・施工状況・創意工夫をもって品質の良いものを造り上げていく必要があり、その結果品質で「a」評価を得ることにつながるのです。
事例として、品質管理の「試験項目」(試験頻度、回数、方法)は規模に合わせ回数で測定するため、測定値が少ない結果をもとに、『規格値の50%以内でばらつきも小さい』と言われても「a」評価を得ることは厳しいです。発注者側としては「b」評価はしても「a」評価には躊躇しています。なので、それを打破する新技術や仕組みが望まれます。
工事全般の微細にわたり日々どのような品質管理をした結果、品質確保した建造物なのかを示さなければなりません。
例えば、コンクリート打設施工においては、ミキサー車1台毎に同一品質(スランプ、単位水量)であると、同一構造物を異なるコンクリート打設日をもってしても同一品質といえる、盛土における最適含水比を持って転圧している等があげられます。品質管理規準は、施工規模に即した最小限の測定頻度を示しているのです。
90点を目指す!品質でa評価を得る5つのポイント
品質で「a」評価を得れば90点を取ることは可能です。では、品質で「a」評価を得るためには具体的にどうすればいいのかを説明していきます。
施工体制をととのえる
「施工体制一般」の評価対象項目は技術検査官と類似項目があります。また文面には、「明確な記載」「速やかな対応」「工事全般にわたって」「有効に機能」「支援を整えて」等が記載されているように会社の支援(施工計画書への記述等)が具体的(実施結果)になされているのかが大きく左右されます。
また、「配置技術者」の評価では、日々の監督職員と協議等においての対応能力によって評価されます。例えば、契約図書等への判断や技術的な判断力等が該当します。
施工管理を行う
施工管理は施工プロセスのチェックリストと同様な文面があるように、発注者は施工計画書の記述内容から現場内容を確認しています。これは、現場条件の反映や変化に適切に対応した施工管理(施工方法等)能力を確認しているものです。ここが出来ていれば、出来形・品質の良いものを造ることができ、評価につながります。
創意工夫をもって取り組む
現在ほど情報が溢れ、新技術を活用した様々な創意工夫が求められる時代はありません。特に、創意工夫の考査項目で満点評価を取得する工事現場が増えてきており、品質向上に向けた工夫や仕組みが発注者から高く評価される傾向があります。
課題を起点に、計画を立て、工夫を実施し、その結果として品質を向上させる―こうした新しいモノづくりが、最終的に良い公共物の構築につながります。
また、現在は目に見える形で成果をアピールすることが求められる時代でもあります。創意工夫のアピールは大切ですが、発注者との信頼関係を築いていくことが、長く良い公共物を残すことにつながるでしょう。
安全管理の徹底
安全管理の徹底とは、安全対策の徹底をすることです。ひとたび事故を起こせば今までの苦労は水の泡となってしまいます。無事故で完成をさせるには、日頃からの目配り、心配りが必要です。「何か変だな」と思ったときには、不安全な要素が潜んでいることが多いのです。
評価項目の一つに「新規入場者教育」がありますが、「実施し、記録がある」(施工プロセスのチェックリスト)と実施記録を確認しますが、一方の評価対象項目では、「当該工事の現場特性を反映している」と内容を確認しているのです。特に施工計画書への記載をしていない企業が少なくありません。他の評価対象項目においても「実施した記録」があっても、その内容が評価できる内容なのかによって判断します。
地域への貢献
地域住民の協力なくしては、工事は進みません。日頃からのあいさつから始まるコミュニケーションの構築が大切です。無理な要望は断らないといけませんが、地域住民が困っていることへの協力関係を惜しまないことがカギとなります。
いかに良好な関係を築けるかが重要となってきます。苦情が絶えないところには、地域住民が公共工事に対して悪い印象を持っているケースが多いです。
まとめ
発注者(監督職員)とのコミュニケーションは大切です。円滑な工事進捗を行う上で報連相は必須となります。
過去の事例で、現場でけが人が発生した際に受注者が発注者への報告を躊躇し報告が遅れ、発注者の現場に対する不信感が増したというケースがあります。そのようなことがないように労働災害の際の速やかな報告はもちろん、日ごろからの信頼関係を築くことが重要です。
土木建造物の品質確保の先に工事成績評定が得られます。他の考査項目の水準を保ちつつ、必要としている土木建造物の「品質向上」に向けた課題に目を向けて取り組み、「品質」(出来形及び出来ばえ)評価で「a」判定評価を取得することが可能となります。土木建造物は気候等の影響を受けるため施工管理の難しさもありますが、良い構造物は長く残ります。
工事成績評定の点数ももちろん大事ですが、良いものを造るという意識を常に忘れずモノづくりをしていくことが大切です。