ISO45001認証取得に必要な費用は?コンサルや審査のパターン別に解説!

ISO 2025.06.02

「ISO45001を取得したいけど、実際にどれくらいの費用がかかるの?」と疑問を持つ企業担当者は少なくありません。ISO45001は、労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格で、従業員の安全確保や企業の信頼向上を目的に、多くの企業が注目しています。

しかし、初めての取得には、審査費用や内部準備コスト、さらには維持費用も考慮しなければなりません。その上、コンサル業者を利用する場合と自社で進める場合では、費用やプロセスに大きな違いがあります。

この記事では、ISO45001の取得にかかる具体的な費用を、コンサルタント業者や審査ごとに詳しく解説します。ぜひ自社に合った進め方を見つけるための参考にしてください。

ISO45001コンサルタント業者費用

ISO45001の認証取得や運用を成功させるためには、コンサルタント業者の活用が重要な役割を果たします。コンサルタントが提供するサービスは多岐にわたり、その費用も内容に応じて変動します。

以下では、コンサルティング内容別にかかる費用と、業者種類別の費用相場について詳しく解説します。

コンサルティング内容別にかかる費用

以下に各コンサルティング内容におけるおおよその費用の目安を解説していきます。また、コンサルティングの費用は、依頼する内容や期間、業種、事業規模などによって異なるということをあらかじめ念頭に置くようにしましょう。

【参考一覧】コンサルティング内容別の費用

コンサルティング内容 提供内容 費用相場
1)ISO45001規格要求事項についての研修 規格の基本解説、実施例の紹介、従業員の役割の明確化など 1回あたり10万円~30万円程度(参加人数や時間に応じて変動)
2)マニュアル作成や必要な文書の提供 労働安全衛生マニュアル、手順書、記録様式のテンプレート作成など 20万円~50万円程度
3)現状分析・運用・改善までの一連の文書・記録の代行 現状分析、目標策定補助、リスクアセスメントの実施、是正計画の策定、改善策の提案など 50万円~100万円程度(組織の規模や業種による)
4)内部監査・マネジメントレビューまたは審査の立ち会い 内部監査・マネジメントレビューの実施支援、改善提案の提示、審査の立ち合い 1回あたり10万円~70万円程度
5)審査後のフォロー 審査指摘のフォロー対応(アドバイス・対応確認) 1回あたり数万円~20万円程度

1)ISO45001規格要求事項についての研修

  • 研修費用相場:1回あたり10万円~30万円程度(参加人数や時間に応じて変動)
  • 提供内容:規格の基本解説、実施例の紹介、従業員の役割の明確化など

ISO45001を導入するにあたり、規格の基本的な要求事項を理解する必要があります。このようなISO45001の基礎知識に関する研修の提供がコンサルティング支援のひとつとしてあります。

研修は基本的に従業員や管理層を対象に実施しており、費用は上記のように変動します。

2)マニュアル作成や必要な文書の提供

  • 費用相場:20万円~50万円程度
  • 提供内容:労働安全衛生マニュアル、手順書、記録様式のテンプレート作成など

ISO45001の要求事項に基づいたマニュアルや関連文書の整備は、システム構築の基盤となります。コンサルタントがこれらの作成を代行するサービスがあり、費用は上記の通りです。

3)現状分析・運用・改善までの一連の文書・記録の代行

  • 費用相場:50万円~100万円程度(組織の規模や業種による)
  • 提供内容:現状分析、目標策定補助、リスクアセスメントの実施、是正計画の策定、改善策の提案など

組織の現状を分析し、課題を特定した上で運用改善まで支援するサービスがあります。また、計画〜運用〜改善の一連の文書、記録類の請け負いを行うコンサル業者もあります。

4)内部監査・マネジメントレビューまたは審査の立ち会い

  • 費用相場:1回あたり10万円~70万円程度
  • 提供内容:内部監査・マネジメントレビューの実施支援、改善提案の提示、審査の立ち合い

内部監査やマネジメントレビューでは、ISO45001の効果的な運用が実施されているかを確認し、必要があれば改善指示を行うことを目的としています。

また、ISO45001の要求事項として求められているため、必ず実施しなければなりません。審査でも同様にシステムの有効性の確認をされます。内部監査やマネジメントレビューに監査員として実施・立ち合いを行ったり、審査の立ち合いを行うサービスを提供しているコンサル業者があります。

5)審査後のフォロー

  • 費用相場:1回あたり数万円~20万円程度
  • 提供内容:審査指摘のフォロー対応(アドバイス・対応確認)

認証取得後も、システムの維持・改善が求められます。審査で出た指摘に対するフォローまで提供しているコンサル業者があります。

コンサル業者種類別の費用相場

ISOコンサルタントには、主に「指導型」「代行型」の2種類があります。

「指導型」コンサルタントは、ISOに関する教育や指導を行い、実務は企業の担当者が行います。費用相場は年間45万円〜150万円程度です。

「代行型」コンサルタントは、ISO取得に関するアドバイスに加え、必要な書類作成を代行します。費用相場は年間45万円〜200万円程度です。

コンサルタント費用は、企業の規模や業種、規格の種類、審査方法、コンサルタントの形式などによって変動します。

一般的に、代行型コンサルタントの方が費用幅が広く、一見高額に思えるかもしれません。しかし、実際には代行型の方が安価な場合が多いです。

これは、指導型コンサルタントは従業員への教育指導や定期的な訪問、監査などに多くの時間を割くため、結果的に1社あたりの費用が高くなる傾向があるためです。

一方、代行型コンサルタントは企業から必要な情報を受け取り、ISO審査に必要な資料を作成するため、打ち合わせ回数が少ない場合もあります(1〜3回程度)。このため、比較的低コストでサービスを提供している会社が多いです。

認証取得までの期間が限られている企業や、自社の工数を最小限に抑えたい企業は「代行型」コンサルタントの検討をおすすめします。

ISO45001審査費用

ISO45001の審査にかかる費用は中小企業において、50万〜100万円程度です。

ISO45001の認証取得には、登録料や審査料を含む審査費用が発生します。また、場合によっては別途費用がかかる可能性もあります。審査費用は、中小企業の場合は大きな出費となるため、事前に認証取得に対する費用対効果を確認しておくことが重要です。

ISO45001登録料・審査料

  • 登録料:初回の認証登録に必要な費用で、一般的に10万円~30万円が目安となります。
  • 審査料:認証のための現地審査や文書審査に必要な費用です。事業規模によりますが、1日あたり5万円〜40万円が目安となります。

認証取得のために必要な主な費用は、登録料と審査料です。これらの費用は事業の規模、業種、適用事業所の数などにより変動します。

別途費用

登録料と審査料以外にも、次のような費用が発生する場合があります。

交通費などの審査員の移動費:審査員が現地まで移動する際に発生する費用です。
追加審査料:一般の審査以外に追加審査が必要な場合、この費用が発生します。
認証更新料用:ISO45001認証は3年ごとに更新が必要であり、このための費用が発生します。

ISOにかかる工数・費用を抑えたい場合のすすめ

ISO認証取得や維持には一定のコストがかかりますが、適切な審査会社(認証機関)とコンサル業者を選ぶことで工数や費用を効率的に抑えることが可能です。

審査費用は、審査にかかる工数を基に算出されています。適切な審査会社(認証機関)を選ぶということは、『審査工数の削減=費用の削減』につながります。

また、コンサル業者を選ぶ際は、同規模・同業界の企業での実績や必要な支援内容を受けられるかを確認しましょう。適切な業者を採用すると、自社運用で費やしていた人件費や工数に対する費用対効果に大きな期待を持てます。

以下では、審査会社(認証機関)とコンサル業者を選ぶ際のポイントについて詳しく説明します。

審査会社(認証機関)を選ぶ基準

コストパフォーマンスに優れた認証機関を選ぶことが、費用を抑えるカギです。一般的に審査費用は、審査にかかる工数を基に算出されており、『審査工数の削減=費用の削減』につながります。

余分な審査工数を削減するためにも、認証機関を選ぶ際には、以下の4つのポイントを基準にすると良いでしょう。

  • 審査費用の明確性…不明確な費用がないか、見積もりを項目別に詳細確認ができるか。
  • 業界知識…自社の業界に特化した審査実績があるか。
  • 対応の柔軟性…審査スケジュールや審査形式が自社の状況に合っているか。
  • 認知度…顧客や取引先からの信頼性が確保できる認証機関であるか。

認証機関によって審査費用やサービス内容が異なるため、慎重な選定が必要です。一部の認証機関は、審査プロセスを効率化する仕組みを持っており、結果的にコスト削減につながります。

また、実績や業界特化型のサービスを提供している認証機関を選ぶことで、無駄な審査や工数を削減できます。

コンサル業者を選ぶ基準

費用対効果の高いコンサル業者を選ぶことが、ISOにかかる工数や費用を抑えるカギです。

コンサル業者を選ぶ際には、以下の4つのポイントを基準にすると良いでしょう。

コンサル業者を選ぶ4つのポイント

・実績…同規模・同業界の企業での成功事例があるか。

・料金体系…成果報酬型や固定料金制(月額制または年額制)など、自社の予算に合ったプランがあるか。

・支援内容…書類作成や内部監査支援など、具体的なサポート範囲を確認。

・コミュニケーション…迅速かつ柔軟な対応が可能か。

ISOの認証取得・維持には内部で業務を回すだけでは難しい場合が多く、コンサル業者のサポートが有効です。

ただし、業者の選定を誤ると不要なコストが発生します。経験豊富な業者であれば、適切なアドバイスを提供し、作業負担を軽減しながら効率よく認証取得・維持を支援してくれます。

ISO認証にかかる工数や費用を抑えるためには、適切な審査会社とコンサル業者を選ぶことが重要です。それぞれの選定基準を押さえ、慎重に比較検討することで、無駄を削減しつつスムーズに認証を取得・維持することができます。

まとめ

ISO45001の取得・維持には、コンサルティング費用や審査費用が発生します。コンサルティング費用は、規格要求事項の研修、マニュアル作成、現状分析から運用改善の支援、内部監査・マネジメントレビューの立ち合い、審査後のフォローなど、提供されるサービス内容によって異なります。また、依頼する内容や期間、業種、事業規模などによっても費用相場は変動します。

審査費用については登録料や審査料のほか、交通費や追加審査にかかる別途費用が含まれる場合があります。

この記事を参考に適正な審査会社とコンサル業者を選ぶことで、ISO45001の取得におけるコストパフォーマンスを引き上げることが可能となるでしょう。